【現役官僚に聞く】官僚の働き方は?ぶっちゃけ改善してるの?【@霞ヶ関在住さん】

1.はじめに
2.@霞が関在住さんへのインタビュー
2-1.@霞ヶ関在住さんの概要
2-2.話題のツイート「8~26時勤務」の真相は?
2-3.新人の苦労と周りのサポート.
2-4.今後の霞ヶ関はどうなっていくか
2-5.💡まとめ
3.最後に

1.はじめに

こんにちは、ますだです!いきなりですが、皆さんは官僚の働き方と聞くと、なにを想像するでしょうか?
残業時間の長さや国会対応の忙しさ、、、などなど。漠然とマイナスイメージや不安を覚えている方も多いのではないでしょうか。かくいう私もまさにそうでした。この記事では、その漠然としたイメージを少しでも具体的にしていければなと思います!

2.@霞が関在住さんへのインタビュー

今回インタビューしたのは、Twitterでもフォロワー9,700名弱として活躍されている@霞ヶ関在住さん。__現役の国家公務員一般職職員__です。非常にお忙しい中、書面での取材に応じていただきました。
※以下の内容は@霞ヶ関在住さま個人の見解であり、所属する組織の見解ではありません。

kokusai man

2―1.@霞ヶ関在住さんの概要

| | |
| ---------- | ---------- |
| 所属 | 中央官庁 |
| 階級 | 係長級 |
| 職種 | II種(現行の国家一般職(大卒相当) ) |
|勤続年数 | 約10年程度 |
|業務内容 |局の総括係として、各課・各省の窓口業務、調整業務、国会業務を行っている|

💡__国家公務員の階級制度について__
階級は下から係員、主任、係長・主査、課長補佐・専門官、室長・調査官、課長・参事官、次長・審議官、部長・総括審議官、官房長・局長・政策統括官、省名審議官、事務次官

参考

2-2.話題のツイート「8~26時勤務」の真相は?

―以前@霞ヶ関在住さまがツイートされたこちらのツイートについて質問いたします。このような状況となっていた原因としては何が考えられるでしょうか。

@霞ヶ関在住:大きなものとして2つあると思います。1つは__タイミング__。多くの案件(法令改正業務、国会対応業務、各重要な照会案件への対応、会議の準備等)が同じタイミングで重なってしまい、平時よりも行うことが多かったこと、また、__計画的にできない突発的案件が多く、事前の準備ができなかったこ__とだと思います。
もう1つは__体制__です。正直なところ、人手不足は否めなく、中の体制も限られてました。ただ、人手不足をどうにかする余裕がなく、いたメンバーでどのように業務を回すのか、と言うのが当時のタスクだったと思います。(人を増やすことや業務を効率化することを検討する余裕が無かった、というのが私のキャパの無さを象徴しているのかもしれませんが。。)

―現在(2020/11/19時点)の勤務状況はこの時と比べていかがでしょうか。

@霞ヶ関在住:上記で述べたように、タイミング的な要素があったので、当時よりは良くなったと思います。ただ、扱う案件自体の母数は右肩上がりだと思います。一方で人は簡単には増えませんので、__一人一人が扱う案件の数の平均値は増えている__と感じます。

―良くなっている要素、原因としては何が考えられるでしょうか。

@霞ヶ関在住:(当時と比べれば)私個人の扱う案件数は少ないと思います。ただ、あの当時の案件数と比較するのは適当ではない(くらい異常だった)と思います。

―逆に、変わらないもしくは悪くなっている要素、原因としては何が考えられるでしょうか。

@霞ヶ関在住:先程述べたとおり、扱う案件数の平均値は増えていると思います。

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2-3.新人の苦労と周りのサポート

―以前やり取りさせていただいたときに、@霞ヶ関在住さまの部下として最近入省、配属された方がとても苦労されていたと伺いました。当時の状況を可能な限りで教えてください。

@霞ヶ関在住:(少し長くなりますが)その子は言語能力に長けており、留学経験も豊富で、国際関係の業務を志望していました。しかし、配属された係には、国際機関からの照会や調整、英文を使った業務も多々ある一方、そうではない業務も多く、特に総括業務はロジ系の業務(※)も多いので、必ずしも自分の得意な分野ではない業務が多かったと思います。
長い拘束時間、慣れない業務、私生活での変化、理想とのギャップなど、本人にとって大きな壁がたくさんあったと思います。私は同じ係(一応の上司)として、その子の葛藤を知っていたので、そんな苦しいはずの中周りにそんなことを感じさせない優しさと元気さで業務をしてくれたこと、苦手なことなはずなのに真摯に取り組む姿勢を見て私自身も勉強させてもらってばかりでした。

※ロジ系の業務:政策を実現するための各種手続き、後方支援に当たる業務。対義語として「サブ業務」。

参考

―その方の状況を改善するために@霞ヶ関在住さま、もしくは同じ職場の方は何か行われていたのでしょうか。

@霞ヶ関在住:__係内の分担__はよく話し合って決めてました。これは補佐の仕事、これは係長の仕事、これは係員の仕事、ではなく、個々人の得意不得意で柔軟に対応できるようにしていました。(もちろん人事の話などは別ですが。。)これには賛否もあるかもしれませんが、係長業務をやらせてる、ということではなくて、その子の得意なことでやりたい、やってみたいと言う業務は積極的にやってもらってました

―@霞ヶ関在住さまと同じような配慮、取り組みをされている方や課室は霞ヶ関にどの程度あると考えられますか。

@霞ヶ関在住:正直なところ把握してないですし想像もつかないのが事実ですが、課室単位だと(※)なかなか難しいと思います。業務の差配はかなり細かいところもあって、現場に一任されてるところが多いのではないかと感じます。当然、部下の労務管理の観点でしっかりと管理職(課室長)が適切に管理すべき、という点もあるかもしれませんが、現場で改善できることは現場で行うというのは当たり前なのかな、とも感じます。(全て管理職の責任にするのはかなり厳しいものがあるのかと思います。)

※通常、課や室の中にいくつかの係がある

kaisya phone isogashii man

2-4.今後の霞ヶ関はどうなっていくか

―現在、霞ヶ関の労働環境を改善するために様々な取り組みが行われています。@霞ヶ関在住さまはこの取り組みにどの程度期待をしていますか。またその理由を教えてください。

@霞ヶ関在住:外部から色々とご配慮頂いてること、中からも変わろうとしていること、本当にありがたい限りです。ますますしっかりと公務員としての役割を果たさなければ、とも思います。中で変えようとしてくださる同じ公務員の皆様がブラックにならなければいいな。。。とも思います。

―今後@霞ヶ関在住さまの労働環境は良くなっていくと思われますか。またその理由を教えてください。

@霞ヶ関在住:個人的な意見ですが、良くなっていくと思います。世間の風潮はここ最近、役所も労働環境を良くしていくべき、と言うものが多いと思いますし、コロナ禍を契機としたデジタル化は少なからず進み始めてると思います。当然これまで同様に、__これまで以上に行政サービスを意識した取組も必要__だと思います。

―最後に、この記事をご覧になられている霞ヶ関志望者、内定者の方々に向けて一言お願いいたします。

@霞ヶ関在住:Twitterで得られる国家公務員像はどうしても偏ってしまう(役所のブラックな面が多い)と思います。私もよくそのような呟きをしてしまうのですが、霞ヶ関にはやりがいも心強い仲間も沢山います。WLB(ワークライフバランス)の取組も充実してる部署もたくさんあります。若手の力は偉大です。(偉そうに言うことではないですが、)少し働いてる私なんかよりもよっぽど組織のプラスになる方が多いと思います。そんな姿を見て我々も勉強させてもらってる部分もありますので、不安もあるかもしれませんが、皆様のお力が必要だ、というのはご理解ください。

―@霞ヶ関在住さん、お忙しい中本当にありがとうございました!

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2-5.💡まとめ

  • 「8~26時勤務」の真相は、複数の案件が一気に重なったことと人員体制によるもの

  • 新人も慣れない環境への変化で苦労はするが、サポートしてくれる人たちもいる

  • 今後、労働環境は改善していくと期待している

3.最後に

最後までご覧いただきありがとうございました!@霞が関在住さんのおっしゃるように、SNSではどうしても官僚の働き方の負の側面に注目が集まりがちです。ですが、個々人のやり方でミクロに変えられることは存在し、実際にそういった取り組みをされている方々がいらっしゃいます。この記事を読まれた志望者、内定者の皆さんには、霞ヶ関で働くことを少しでも前向きに考えられるようになっていただければ幸いです!

この記事を書いた人

ますだ
ますだ
京都大学修士2年。研究から現実逃避するためによく鴨川を散歩している。長電話とオチのない話が得意。

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